支部長の部屋

「嬉しいこと、寂しいこと」弟子達との出会いから感ずること

2014.07.08

私に限らず、またキックボクシングやその他格闘技に限らず華道であれ踊りであれ、音楽の世界であれ、人を教える立場になり弟子を持って初めて体験する事が有りますね。
弟子への思い入れが強ければ強いほど嬉しいことや寂しいこと、悲しいことが大きくのしかかってきます。
当然ですが、師匠となった方も弟子となった方もそれぞれ別々の環境で育ち、別な性格を持ち、別な考えをもち、別な感性を持っているわけですからこれが当たり前とか、これがセオリーとか一朝一夕にはゆかないものです。
弟子の方も師匠の人となりが分かって入門するというのは中々難しいことですから、大変だとは思います。

私も生涯2人の師匠について格闘技をしてまいりましたが、私が育った時代の風潮や環境は師匠絶対主義でしたので、逆に何をするにも答えが決まっていて腹が据わって出来た時代でした。
しかし今はそうはいきませんね。若い世代の育った環境や国の教育の方向性が違ってきているわけですからやむを得ません。

私の道場ではプロ選手を育てる大事な仕事と、一般練習生に楽しんで健康管理をしていただくという2つの大きな役割が有りますので、全く違う対応や扱いで彼らと向き合っていく事になります。

この7月6日に新潟市の体育館で某空手団体が主催する「グローブ空手」の試合が有りました。
私どもの道場からも入門半年から1年程度のアマチュアを中心に参加者を募り、9名の選手が出場しました。
伊原信一会長も前々日までタイへ行かれていたのですが、わざわざ応援に駆け付けて下さり、出場選手全員も感激の中試合が始まりました。

「グローブ空手」は我々のキックボクシングの様にリングの上での試合ではなく、マットの上でグローブ・ヘッドギァー・レッグガードを付けて戦う競技で、キックボクシングの様に肘打ちや首を掴んでの膝蹴りを禁止しており、実践空手とキックボクシングの中間の様なものと言った方が分かりやすいでしょうか。
したがって、戦う「間合い」と言ったものが普段の練習と違うため慣れるまで時間を要するのですが、私はアマチュアであまり人と戦ったことのない弟子たちに特に参加を呼び掛けています。
それは実際に試合の中で殴り合うとはどんなものなのか?必死になるという事はどういう事なのか?を分からせ自分自身と戦う度胸と根性を身に付けさせたいと考えるからです。

試合の場には普段いくら一生懸命に練習をしても経験の出来ない緊張感と怖さが有ります。
それだけ人が必死になるという事は如何に凄い事で、恐ろしい事なのかを自身で体験していただき、普段思い上がった気持ちやチャラついた心を軌道修正する…そんな場にしていただきたい、そう思うのです。
また、互いに普段の練習の成果を出し合い戦ったことで、対戦相手や自分を応援してくれる人達への尊敬と感謝の心が生まれます。
意外な様ですが格闘技をする人間は何処かにコンプレックスを持っている人間が多いものです。生まれ持った性格なのでしょうか?
人は両極端な場合、辛い思い・悲しい思いを経験して人には自分と同じ思いはさせたくないと考え、温かい気持ちで接してくれた人間には感謝の気持ちを抱く素敵な感情を持つ人間と、自分がされた事は他人にもしてやれ、自分さえよければ人の事など知ったことではなく、人からしてもらったことは当然のごとく当たり前と考えるクズの様な人間に分かれてしまう傾向が有るように思われます。
当然日本人の多くは前者であり、後者の様な人間は稀ではありますが、私ども格闘技の指導者は気を付けて指導をする必要が有ります。

「情けは人の為ならず」良く言ったものです。
私も最近この過ちを犯しました。本人が改心することを願い我慢を重ねてきたのですが、周りの影響を考え断腸の思いを持って破門といたしました。
自分の力の至らなさに今更ながらに反省をしておりますが、我々格闘技を商売とするものは「ビジネスライク」ではいけない。人間を良く見て指導し、心の教育も出来なければ唯の腕っ節の強いチンピラを育てることになってしまう。
たまたまこの度の試合会場で当人を見つけその態度、装いに改めて寂しい思いにかられたのでした。
しかしながら、どんな世界でも概ね一流はやはり前者のタイプであり、後者のタイプは二流・三流にしかなれませんから、神様は見ているという事でしょうか。

私の恥話はこれくらいにしておいて「嬉しかったこと」をお話ししたいと思います。
今回の出場選手9名(大人6名、子供3名)の事です。
みんな本当に良く頑張りました。 戦績はジムとしては4勝5敗ですが、全員が自分は「伊原道場の代表だ!」との強い覚悟で試合に臨んでくれました。
それを応援する方も喜多村誠指導員・本田聖典指導員・本間博行指導員をはじめとした大応援団で、その団結力・チームワークは今大会ナンバーワンでした。

とにかく戦う方も応援する方も全員一丸!道場を預かる身として弟子たちのこの団結力は嬉しいものです。
中でも今回特にうれしかった試合が2試合有ります。
1つ目は吉川俊貴君21歳。入門半年でいきなり参戦です。
彼は身体と心が丈夫だから試合に出しましょう、という事で本人も知らないとは強いもので元気に試合に臨みます。 当然ながらボロボロに殴られます。でも倒れません!
「みんなの見ている前で、伊原道場の看板を背負ったまま倒れるわけにはいかない!」
彼の性格がよくわかります。
結局はスタンディングKO(立ったままKOを取られる)といっためずらしいKO負けでしたが、道場の為、応援してくれる仲間の為、私の為に頑張る気持ちが素晴らし男です。
良くダウンせずに耐えた「吉川君」男だねぇ~!!嬉しいよ。

2つ目は内弟子の渡邉涼介君24歳。内弟子と言ってもまだ入門1年半ちょっとの新人です。
初出場の相手はなんとプロのキックボクサー、新日本のキックボクシングのプロを目指す渡辺君にとっては良い経験です。
入門以来ほとんど休まずに毎日3時間以上の練習をこなしてきた渡辺君はプロを相手に互角の試合展開でしたが、後半さすがに相手が実力で一歩上。強力なストレートを顔に何発も被弾します。
しかし吉川君同様、支部長の私や指導員・応援団の皆の声援を背に一歩も引こうとはしません。
結果は僅差の判定で敗れはしましたが素晴らしい戦いでした!
翌日のドクターチェックで鼻骨骨折が発覚。それでもダウンしなかったのは彼にはお世話になった人達に感謝し恩返しをしたいと思うモチべーションが有るから。
自分の利の事だけを考えている人間はこういう場合我慢できずにダウンするものです。
良く頑張った「バンビ」(彼の愛称です)。
次は7月27日いよいよ東京で新日本のアマチュアの大会に臨みます。 頑張れ「バンビ」!!
私にとって心から嬉しい一日でした。

追伸 : 翌日からすでに吉川君と渡邉君は負けた悔しさをバネに、殴られてパンダの様な顔になりながら激しいトレーニングに入っております。近いうちに必ずや彼等の有志を皆様にご覧いただけることと思います。 キックボクシングが好きで人が好きで素直な心を持った二人の若者にこれからも皆様のご声援よろしくお願いいたします。

支部長 乙川敏彦

第8回 東日本グローブ空手道選手権大会

第8回 東日本グローブ空手道選手権大会

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